選挙前に賃金引き上げた政府

23.8.2017 15:31

Vláda před volbami navyšuje platy.Firmám navzdory

掲載: 2017年8月22日 ホスポダージュスケー・ノヴィニ紙

幼稚園児がいる家庭は、来年から税額控除額が1万2200コルナに引き上げられる。これは、政府が最低賃金を1万1000コルナから1200コルナ引き上げたことによる副作用のひとつである。賃金が上がれば、幼稚園の学費から税額控除される最大金額も変わるという、幼稚園の学費と最低賃義を結び付ける原理が働いている。

史上最大の引上げ額となった今回の最低賃金引上げは、企業と鋭い議論を交わした後にチェコ社会民主党(ČSSD)が推し進めてきた。人民党の一部は1000コルナの引上げ、イヴァン・ピルニー財務大臣は現状維持の意向を示していた。

政府は、最低賃金を平均賃金の40%まで徐々に引き上げると誓ってきた。もし賃金上昇に関する財務省の予測が当たれば、昨日の決定でこの目標は達成されることになる。

今回の最低賃金引上げは、13万人の労働者に関係し、国と企業が負担することになるその費用は合わせて38億コルナにのぼる。

ミハエラ・マルクソヴァー労働大臣とミラン・ホヴァネッツ内務大臣は、企業が従業員の賃金引上げに踏み切るためにプレッシャーを必要としていることを信じている。「これは、全体的に賃金が上がるよう仕掛けた政府の手段の一つだ。現在チェコは記録的な発展を遂げ、失業率も低いが、ポーランドやスロバキア、ハンガリーと比べると最低賃金は安い」と、マルクソヴァー労働大臣は異議を唱えた。低学歴者でも、きちんと生きられるような賃金を与えるべきだという。

ピルニー財務大臣は、最低賃金引上げは無駄だという。「人材が労働市場に15万人不足しているなら、賃金の増加が広まるのは当然だ」と大臣は述べた。

チェコスロバキア労働組合連合のヨゼフ・ストシェドゥラ会長率いる労働組合は社会民主党を支援。しかしその半面企業は憤慨し、この決定は選挙前攻略のための政治色が強く、企業よりも労働組合の意向を尊重しているという。チェコ商工会は、「不適切な最低賃金の引上げは失業率増加に繋がり、企業間競争力が下がり、ブラック労働の道が開かれていく」と、ネガティブな影響を警告する。

昨日のソボトカ首相の発表に対し、経営者組合のラドミル・バーベック委員長は「企業の負担が増えるのと比例して物価は高騰し、それは主に貧しい人達に影響を及ぼす」と反応した。

またストシェドゥラ会長は、失業率による脅しはおかしいと述べ、「この経済法則が当たっていないことは、この数年を見ても分かっていることだ」とした。

チェコ商工会によれば、政治家らは政府の政治計画に依存しないシステムを構築する代わりに、最低賃金や従業員保護といった問題を利用しているという。例えば、チェコ産業連盟は、2019年から平均賃金の40%になるよう、現段階では最低賃金の800コルナ値上げに賛同するとしており、「最低賃金の固定が、引上げに関する全問題を脱政治化し、企業の予算計画を立てる上で引上げ金額の予測は重要なのだ」と、広報部のエヴァ・ヴェリチコヴァー氏は述べた。

最低賃金の引上げは、政府の唯一の選挙前戦略ではない。昨日、各省庁の大臣数名は労働組合と会談し、今年11月から公務員の給与の10%引上げ、教員の給与の15%引上げについて議論を交わした。「社会民主党としては、給与が上がって欲しい。警察官のグロス給与が2万~2万5000コルナレベルというのは、競争力に欠ける」と、チェコ社会民主党のホヴァネッツ党首は主張した。